2016/04/28
フリクションインキ開発への道のり
フリクションシリーズには温度変化によって色が変わるインキが使われています。実はこのイン
キのはじまりは、”自然”から発想を得たものだったそうです。
【紅葉からの着想】
きっかけは今から30年以上前、ある研究者が紅葉を見て、一夜にして葉の色が変わる魔術のような自然の力を、どうにかしてビーカーの中で再現したいと考えたことが発端でした。
やがてその思いは結実し、1975年遂に、「温度変化によって色が変わるインキ」の基本技術の開発に成功しました。
【温度変化の壁】
インキの名称は変態・変身=メタモルフォーゼというラテン語から、『メタモカラー』と命名されました。
このメタモカラーは一定の温度になると変色し、常温に戻ると元の色が復活します。
現在のフリクションインキは65度で色が消え、-20度で復色するよう変色温度幅を85度に設定してありますが、当時のメタモカラーはこの温度幅がわずか数度と非常に狭く、変色と復色の温度設定も厳密ではありませんでした。
一度消した文字が常温で復活してしまうようでは、実用的な筆記具としての商品化は望めません。研究者は、この壁に30年近く挑み続けてきました。
さらに、設定した温度帯だけに鋭敏に反応するインクも開発され、90年代からは示温剤として広く利用されるようになりました。飲料メーカーの冷酒やワインなどのラベル印刷に使用され、10℃などあらかじめ設定した温度になると『飲み頃』の表示が現れるといったものができました。
【マイクロカプセルの難題】
その後、 ボールペンの先からなめらかにインキを出すには、インキの粒子をできるだけ小さくする必要があることがわかりました。
しかし、メタモカラーはマイクロカプセルの中に3つの必須成分を入れる必要があるため、粒子が大きくなってしまうのです。
このインキでボールペンを作るためには、マイクロカプセルの強度を保ちながら粒子の大きさを5分の1にしなければなりませんでした。しかも、ボールペンインキに配合されている溶剤や添加物は、一般的にはマイクロカプセルと相性の悪いものが多いため、マイクロカプセルの膜は、それらに対して耐久性のあるものにしなくてはなりませんでした。
そのために、マイクロカプセル用膜材の材料調査とカプセル化の方法・条件の検討には、多くの時間を割くことになりました。
度々なる思考錯誤の結果2002年にはマイクロカプセルを筆記具用インキにも応用できる2~3ミクロンに小型化することに成功しました。
ちなみに、人間の毛髪の直径は80~100ミクロンなので、2~3ミクロンとはその40分の1程度の大きさです。
【進化した温度調整剤】
さらに同時期に、長年取り組んできたインキの色を変える働きをする変色温度調整剤の研究開発も大きく進歩しました。
最初は既成物質を利用していましたが、最終的には世界初のオリジナルの化合物を1,000種類以上作り続けました。
その結果、当初不可能と思われていた、メモリー機能を有する新しい変色温度調整剤を見出すことができました。
フリクションインキの変色温度幅は65度から-20度に設定され、この成果により、通常の生活環境においては消した色が自然に復活してしまう可能性は限りなく減少しました。こうして2005年に、ついに実用筆記具としての製品化が実現したのです。
そして、製品化から約10年が経ち、現在F&Sではフリクションボールペンに名入れを承っております。
印刷の種類も幅広く、シルク印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷があり、お客様のご要望にお応えできるとかと思います。この他にも、様々な対応が可能ですので、お気軽にご相談ください。
フリクションへの名入れに関しても、デザイン会社だからできる「こだわり」をお届けいたします。